WeekendFlower⋆サンリッチライチ

まだ目も開かないうちにシャワーを浴びる。

熟睡したはずの朝なのに、目覚めが悪い。

 

「そういえばあいつ、元気にしてるのかな?」

 

何の脈略もなく思い出される過去。

閉じた目蓋の奧に、笑顔でおどけてみせるあいつがいる。

制服で踊るものだから時折スカートがめくれ、見てる僕がヒヤヒヤする。

「ダンス部のスカートの下はジャージだよ、バカね」

僕の小さな嫉妬を可愛い八重歯を見せて笑う。

 

普段は前髪を作るあいつもダンスをする時は前髪をあげる。

時折みせる真剣な眼差しに改めてドキドキする僕がいる。

こんなに好きだったんだ。

 

熱めのシャワーがようやく僕を覚醒させる。

ふと記憶の辻褄が合わない事に気付き、慌ててさっきの記憶を辿る。

 

磨かれた板張りの教室。机と椅子が端に寄せられてできたスペースで踊るあいつ。

教壇の花瓶には見慣れない色のヒマワリ。踊りながら僕を見るたび微笑むあいつ。額の汗が夕日に光る。

僕は中高一貫の全寮制の男子校。僕の初めての恋人は、大学のゼミで知り合った1つ年上の女性。そう、今の妻。

だから、こんなシチュエーションは僕の記憶にあり得ない。

覚醒とともにあいつの記憶が薄れて行く。

 

笑顔の輪郭が消えてゆく。教室が端から消えて行く。

ダンスの音楽も消え、無音が耳に響く。

ただ、見慣れない色のヒマワリだけが色彩と存在を保っている。

シャワーの後、ふと視線を感じ窓の外を見る。

見慣れない色のヒマワリが、こちらを見つめていた。

ノスタルジックな色のヒマワリが。

Fin

 

「あいつ」は夢の中の恋人だったのでしょうか?

それともヒマワリが見せた幻覚だったのでしょうか(笑)

 

さて、大人カラーのヒマワリ、いよいよ始まってまいりました。

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ナデシコ『ブレアンサスアール』

今日の出会い花vol.8

品種:ナデシコ『ブレアンサスアール』

産地:長野県/しんせんむら

 出会い花シリーズは、これまで結果としてスタンダードな花の素朴な魅力の発見の試みだったように思えますが、本日は些か変わった品種の紹介になるのかもしれません。

 このブレアンサスアール』は、ナデシコのナデシコらしさと、テマリソウのテマリソウらしさを合わせもった品種のように感じます。

 テマリソウのふかふかのミドリの毛玉の中から可愛らしいピンクお花が顔だしています。さりげなくというよりは大胆にですが、骨太で健康的な茎とは対照的にとても可愛らしい手鞠とお花のミドリとピンクのコントラストが可愛らしいです。

 天空の城ラピタの庭園に咲いてそうな雰囲気で少し奇妙です。主役を飾るような花材ではないかもしれませんが、単体でも十分に楽しめる魅力を持っていると思ます。わき役として主役を盛り立てることも造作もないでしょう。

是非一度、お試しください。

  

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WeekendFlower「花・・・」

ゴールデンウィークでも働くことに違和感がなくなって久しい。

それがX‘masだろうが元旦だろうが、ただひたすらに花を束ねる。

それが花屋の使命。

 

夏でもダウンジャケットは欠かせないし、冬には、北極に住む魚のように内臓に脂肪を蓄える。

それが花屋の使命。

 

「貴女のタイプは?」と聞かれた時にイメージする通りの男性客が

「家内が誕生で」と照れながらオーダーしてきた時、なんとなく釈然としない。

それが花屋の使命。

 

「やっぱり貴女にお願いして良かったわ!」

これで何人目だろう?同級生に造るクラッチブーケ。

それが花屋の使命。

近所のおばあちゃんが「初孫の節句に」と、お花を買いに来る。

そのお孫さんが大きくなって買いに来た仏花を造る。

「私に飾るお花はあそこのお花屋さんにしてね」

祖母が最後にそう言っていたので。と聞かされる。

嬉しさと悲しさと…。

これが花屋の生き甲斐。

時節、その時折々のお花、ご用意しております。

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トルコキキョウ『ピッコローサスノー』

今日の出会い花vol.7 

品種:トルコキキョウ『ピッコローサスノー』

産地:高知県 山内悠平

近年ではトルコキキョウといったら八重のフリンジ咲きが主流となっているようです。

それは、まるで80年代アイドルのフリルスカートの様で、とても好きなお花の一つです。

大ぶりで存在感があり優雅さあるボヤージュ系やセレブ系のそれが、トルコキキョウに於けるスタンダードとなっている現在、このピッコローサスノーは物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかしながら、このピッコロサスノーは、少し小ぶりで品が良く、清楚です。存在感がないわけではなく、しかし前に出すぎない。『まるで和美人さん』そんな印象でしょうか。決して現在のスタンダードに負けない魅力あります。

是非一度、このピッコローサスノーを感じて頂きたいと思います。

まだ、自分自身に花に於けるスタンダードが確立されていない現在、無知の結果、純粋にそのお花に向き合えているのかもしれません。

トルコキキョウに於いて小ぶりは不良ではないし、豪華がベストでもないと思える。

今後もたくさんの花々と出会う中で、できるだけニュートラルな状態で花と向き合い・感じて、その出会い達を紹介させて頂けたらと思わせてくれた本日の出会い花でした。

 

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WeekendFlower「マリーゴールド」

財布を落としたらしい。

それも3日前の事らしい。

「らしい」というのは、最近ではほとんど財布なんか使わないから、落としたことにも気が付かず過ごしていた。

 

クレジットカードや電子マネーは携帯と一緒に持っているし、落とした財布には、ほんの少しのお金と、たまに行く病院の診察券や家電チェーンのポイントカードぐらいなものだから、正直取りに行くのも億劫だった。

 

警察から聞かされたアドレスを頼りに拾い主のところへ向かう。

 

国道沿いの街路樹は一回り大きくなっていたし、クリーニング屋の向かいの酒屋はコンビニになっていた。もっとも、そのクリーニング屋は駐車場になっていた。

 

僕が大学の4年間過ごしたこの街に、また戻ってくるとは思いもしなかった。この街には思い出が多すぎる。大学4年間の思い出と、4度の夏を過ごした恋人の思い出。

 

葉桜の緑が一層濃くなり、夏の訪れを待つばかりのよく晴れた午後だった。

インターホンが鳴りキッチリ3秒数えた後に3度のノック。

当時の恋人と決めた2人の合図。

「新聞の勧誘や国営方法の取立の時は出ないから、君がきた時の合図を決めよう」

そう言って決めた2人だけの秘密。

 

「出なくて良いの?」

名前も思い出せない女の子が、隣で横たわりそう尋ねてきたのを今でも思い出す。

 

その合図が2度ほど繰り返された後、静かに遠ざかるヒールの音が心に響いた。

 

名前も思い出せない女の子が出で行った後、急に息苦しくなって開け放った窓から見えた黄色い花。とても鮮やかな黄色の奥に、深い悲しさを感じたのは僕の罪悪感からだったのだろうか。

その花の名前がマリーゴールドだと知ったのは、ラジオから聞こえてきた女性歌手が歌う歌詞だった。

 

過ぎ去った時間は取り戻せないけど、過去は未来とつながっている。

私が拾ったこの財布の持ち主は、あの時の彼なのか、それとも単なる似た名前の誰かなのか。

 

現実は小説より奇なり・・・

(笑)

 

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グリーンベル『サクラコマチ』

今日の出会い花シリーズvol.6

品種:グリーンベル『サクラコマチ』

産地:愛知県 石井信晴さん

東京では桜の満開を迎え、春の訪れをつげてくれています。

そんな中、恒例となった出会い花シリーズがやってまいりました。

今日の出会い花はサクラコマチです。

春の爽やかな風、ぽかぽかな日差しの中にいると、気が付くと淡い心模様になってしまいます。

だから春はパステルカラーをついつい手に取ってしまうのかもしれません。

ビビットな色味や存在感を存分に発揮する花々が沢山ある中、このサクラコマチ

新緑の若葉の色味の様なとても華奢な体から、先端の小さな桜色の花の群れに至るまで

、とてもさりげなくて優しい様に僕には思われます。

優しい花に優しい陽気、やさしさに包まれたなら の季節はもっと素敵な季節になりますね。

サクラコマチのやさしさをたくさん人に感じて頂けたらと思います。

今日帰ったら魔女の宅急便を見ることにしますw

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WeekendFlower「シャルロット」

まー、よくある話です。

ある晴れた日曜の朝でした。その事自体忘れていましたが、世界一周ツアーの懸賞に当選しておりました。1ヶ月の有給申請はなかなか難しいかったですが、なんとか会社も理解してくれました。

フランスではそれほど珍しい事ではないようですよ。世界一周の旅スタート国フランスでスリに会い、パスポートを紛失。世界一周どころか、パリ市内観光の前にまず大使館ですよ。

大使館へは毎年何万人も訪れるらいしですから、その中に僕の初恋の人がいてもなんら珍しい事ではないですよ。
居たと言っても、居たのは壁の向こうですけどね。
「久しぶり、いじめっ子。まだ忘れてないからね」
「おっ、フランスに戻って居たのか、蛙」

在日フランス人の数は1万人を少し超えるので小学校の時にフランス人の女の子が居てもそれほど珍しい事では無いですよね。
それによくある事ですよ、そんな女の子に一目惚れする日本の男の子。僕もその中の1人ですけどね。

でもほら、それがバレるのって恥ずかしいじゃないですか。だからわざと変なあだ名付けてね。そう、蛙って。

彼女、名前がシャルロットって言うんですよ。だから蛙って。

ま、彼女もラテン語を少し知っていたので、あだ名の意味を解ってくれてましたけどね。

えっ、その後の話ですか?
まーよくある事ですよ。なんか久しぶりに蛙と意気投合しちゃって一緒に日本に帰って来ましたよ、蛙なだけに。

Fin

知ってました?ラナンキュラスという名前、ラテン語で蛙に由来するの。

興味のある方は是非ググってみてくださいませ。

そんなカルメン含め各種のお問い合わせはこちらまで。

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ラナンキュラス シロッコ

白いモロッコなので「シロッコ」でしょうか?

モロッコシリーズのNEWフェイス。

まだ少量出荷ですが、来年ブレークするかも。

ひと癖ある花型がポイントですかな?

いいね!

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ストック『アイアンイエロー』

今日の出会い花シリーズvol.5(再会編その2)

品種:ストック『アイアンイエロー』

産地:千葉県 出口良子さん

3月に入り寒さも少しずつ和らいできて、卒業シーズン到来です。

今日の出会い改め再会は、香の再会でした。

それは学生時代の卒業式の会場を覆っていた香です。

ストックの香を嗅ぐと、いつでもその時の空気を思い出させてくれます。

それは三月になると尚更で、

体育館の匂いや、たくさんの友人達と多くの時間を過ごした教室の匂い

卒業のちょっと誇らしい気持ちなど、ストックの香一つでたくさんの記憶、

思い出を呼び起こさせてくれます。

だから私はストックの香が大好きです。

『アイアンイエロー』はストックのしっかりとした芯のある茎と

柔らかい花弁郡に加えて、やさしいやさしい淡い黄色をしています。

淡い記憶とともに、優しい気持ちにさせてくれます。

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WeekendFlower「カルメン」

お前が投げた この花を俺は牢の中でも手放さなかった

萎んで干からびてしまっても甘い匂いは変わらなかった

何時間も何時間もじっと瞼を閉じたまま

 

その匂いに酔いしれながら闇の中でお前を思い浮かべた

お前を呪ってやりたいと思った

お前を憎んでこう言いかけた

なんでまたあんな女に俺はめぐりあったんだろうかと

 

その後でそんな自分を責め立てて気がつけば俺の望みはただ一つ

もう一度お前に会うこと。おお、カルメン!お前に会うことだけ!

 

なぜならお前はやってきて俺をちらりと見ただけで

俺をとりこにしてしまったんだ

おお!俺のカルメン!俺はおまえのものだったんだ!

カルメン!おまえを愛している!

オペラ「カルメン」より【花の歌】※お前の投げたこの花を

 

さて、この可憐な花カルメンから連想する稀代のダメンズ「ドン・ホセ」・・・。

そして、衛兵をそこまで惚れさせた美しきジプシー「カルメン」・・・。

 

そこまで惚れる女性と知り合ってみたいという怖いもの見たさ少しあります(笑)

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