マキシマとセルリア WeekendFlowr

最近、気になるBarがある。

それは週に一度、塾の講師として立ち寄る雑居ビルの地下。よく考えてみると、特に「Bar」と書かれているわけでは無く、ごく普通の木製の扉に屋号と思しき表記があるだけ。

だごくたまに、その木製の扉のそばに、ウイスキーやビールの空き瓶が並んでおり、勝手に「Bar」だと思い込んでいる。気になっているはその屋号で、白樺の板に彫刻刀でこう彫られている。

「扉の向こう」。この扉の向こうに何があるのだろう。

お酒は嫌いではない。ただ、なんとなくタイミングが合わないのと、自分が酔った姿を、生徒なりそのご父兄にみられるのがなんとなく良くない気がして、足が遠のく。

「こんにちは」

塾の帰りにほぼ立ち寄るお店がある。こじんまりした花屋で、手作りのシンプルな焼き菓子も置いてある。

この店に足繫く通うようになった理由はここのオーナーである女性の手を見てから。ここのオーナーは飾り気がない。でも、どこか美しく、引き込まれる可愛さもある。最近では高校生でもネイルサロンに行くというのに。

美しくするのと美しいは違うと思う。

いつものように、彼女の勧めをアレンジしていただく。

「今日はこんな感じで。旬のアンスリュームとクルクマ。ラムズイヤーとベビーハンズ、そしてセルリア。いかがですか?」

特に花に詳しいわけではではないけど、アンスリュームは熱帯の花というイメージ。

でも今日のこれは熱帯の花というイメージは薄い。むしろ、なぜか少しキュンとして、何かに照れた。照れた勢いで彼女を誘う。あの気になっているBarへ。

道すがら彼女は浮かない顔をしている。誘うのが早すぎたのか、それともそもそも誘うべきではなかったのか。

「来週からは塾からの帰り道を変え、部屋の花瓶も片付けないと」。そんなことも少し考えた。

ビルの地下に到着した。でも、あるはずのBar「扉の向こう」がない。扉すらない。ただ薄汚れた壁のみがあるだけだ。

隣で彼女はこう言う。このビルには何件かお客様がいてたまに配達に来る。だから地下にそんな店が無いことを知ってる。そんな場所になぜ私を誘うのだろうか?それが、彼女が見せた浮かない顔の理由だったらしい。

そしてこう続ける。場所はどうであれ、てっきり、セルリアの名前を知って誘ってくれたと思ったと。

セルリア「ブラッシングブライド・頬を染めた花嫁。」

結果的に、僕たちは1つの扉を開けた。そして、その向こうに何があるのか、一緒に探してみようと二人で決めた。

 

「大佐和さんのアンスリュームフェア」

昨日開催させて頂きましたアンスフェア、おかげさまで大好評でした!

今回、業界初?の1本売り始めましたが、いかがでしたでしょうか?

今後も盛りだくさんの企画後手インさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

そんなアンスをきっかけに始まる花材の共演をショートストーリーに。

 

なお、アンスのアレンジは、Flore21のデザイナー岡寛之です。

株式会社フローレ21
葛西店
TEL:03-5659-8750
長友

 

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