もう、どうのくらいこうしているのだろう。
どこまでも続く灰色の空に、紫とか青とかグリーンとか、色とりどりの紫陽花が重なる。
その景色が、何故か僕を不安で落ち着かなくさせる。
僕たちは、何を話すわけでもなく、中途半端な距離をあけて座っている。
そして、2人の足はくるぶしまでプールの水に漬かっていて、
時折吹く風に水面が揺れ、2人の足が絡まっているように見えた。
僕は少し照れる。
彼女がふと遠くを見つめる。そしてこう言う。
「僕はこの匂いが好きなんだ、ペトリコール。もうじき雨が降ってくるよ。ほら、嗅いでみて?」
「君は女性なのに自分のことを僕っていうから、僕は自分のことを何て呼んでよいかわからなくなるよ。」
彼女が期待していた僕の返答がこんなんじゃないというのは分かっていたけど、ペトリコールなんて聞いたこともないし。
そしてまた2人の間に沈黙が続く。
プールの端のほうからいくつもの小さな波紋が広がる。まるでたくさんのアメンボが泳いでいるように。
そして彼女の言う通り、雨が僕たちに静かに降り注ぐ。
「そろそろ帰らないと風邪ひくよ」
「風邪なんてひきっこないけど、ブラウスが濡れるのを君に見られるのは嫌だな。」
もう、あれからどのくらい経つのだろう。
僕が住むこの街にも、また梅雨がやってくる。
あの日僕は、彼女のいう通りペトリコールを探して何度か嗅いでみた。でも彼女の風下に座る僕には、彼女の香りしかしなかったんだ。
だから僕には、雨が降る間際には君の香りを感じるんだ。
洗濯石鹸と温もりを持った木綿と、君の何かが混ざった香り。
ふと窓の外を見る。
あの日の午後と同じように、どこまでも続く灰色の空に、紫とか青とかグリーンとか、色とりどりの紫陽花が咲いている。
その景色は、今でも僕を不安で落ち着かなくさせる。
こんにちは。
梅雨空な週末ですが、午後には晴れるとか!
さて、本日ご紹介した「青木園芸さんのあじさい」。
今年もそんな季節ですね。
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株式会社フローレ21葛西店 長友
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