ワックスフラワーには中々ないとってもスウィートなピンク色に惚れました!
わりと毒々しい系の色味が多い中こんくらいのピンクは使いやすいのではないでしょうか?
なんか梅っぽいですね!
いやー可愛い!
是非花屋さんに使ってほしいです!
あ、あとジャポニカ学習帳の表紙にも是非!
「ワックスフラワー サラデライト 南アフリカ共和国」
あの時、ほんの少し時間がずれていれば、もしかしたら僕の人生も違っていたのかもしれない。ほんの少し、僕に勇気があれば。
時折吹く風が、校庭を囲む小さな森の木々を揺らしていたのを思い出す。
降り注ぐ夏の太陽が作る僕の影はまだ小さく、これからまだ暑くなることを感じさせる夏の午後だった。
あの夏に変わった制服のシャツ。夏でも長袖だったのが半袖になり、襟も開襟となった。みな真新しいシャツを汚さないようにしていたから「良いとこの生徒さんみたいだね」そう言って近所の駄菓子屋さんのおばさんにからかわれていた。
同窓会の案内が届いたのは一か月前。今まで一度も届かなかった案内状がなぜか今年初めて届いた。
封筒の裏に書かれた発起人の1人、その女性の名前をみて僕は小さく微笑む。まだ寒い冬の下校の途中、無理やり手渡された2月のチョコレート。
「これは義理だからね」と書かれたメモが添えてあった。自転車を立ち漕ぎして帰って行く彼女の後ろ姿を思い出したから。
「つぎとまります」。手元のランプが点灯するのと同時に「森山中学校入口」という案内がバスの中に流れる。20年ぶりに訪れたこの町は、何かが大きく変わったということはなく、ただ20年前の時間が流れた町だった。町で一番高かった3階建ての役所は今でも一番高く、あの年に新築された公民館は、今では風情のある建物になっていた。
僕は同窓会より1日前にこの町にやってきた。あの夏の午後が取り戻せることなんて出来っこないことを知っているのに。
あの日、教室の窓から見える校庭の端の小さな花壇に水を上げる女の子がいた。「義理チョコのお礼を言わなきゃ」。僕は皆に気付かれないよう教室を出て花壇へ向かう。夏の日差しが作る僕の影はまだ小さい。ふと校舎の屋上のベルが午後の授業開始を告げる。
「また今度にしよう」
ベルに促され教室へ引き返す途中、小走りにかける隣組の男の子とすれ違った。
教室へ戻り、見たくはない景色を思いながら義務の様に窓の外の花壇を見つめる。楽しそうな2人の影が見えた。
あの時、ほんの少し時間がずれていれば、もしかしたら僕の人生も違っていたのかもしれない。ほんの少し、僕に勇気があれば。
Fin
今日のご紹介は、ユーカリ「ベルガムナッツ」。ベルの形をしたドライにも適した花材です。
ベル?学校のベル?少し強引なショートショート(笑)
本日ご紹介した「ベルガムナッツ」のお問い合わせ、
またはその他「お花の仕入れ」についてのお問い合わせは、
株式会社フローレ21
葛西店 長友まで
今日の出会い花vol.11
品種:SPバラ『エレガントクィーン』
産地:愛知県/ローズマート出荷組合
出会い花シリーズは、SPバラのエレガントクィーンです。
前回のフワリと同様に、やさしい淡いオレンジ色をしたSPバラです。
花弁の形が少しフリンジになっていて、まさにエレガントです。
優しさと美しさを兼ね備えたクィーンなわけですね。
マトリカリアなのど草花と一緒に束ねたら可愛いかもです。
梅雨はもう少し続きますが、素敵な花のやさしさに包まれたなら、
憂鬱な雨模様の中に、いくつか素敵を見つけられるかもしれません。
日々の生活の中にささやかなゆとりを作っていけたらいいですね。
本日ご紹介したSPバラ『エレガントクィーン』
またはその他「お花の仕入れ」についてのお問い合わせは
特にすることもなかったから始めた寝室奥のクローゼットの整理。
奥に進むにつれ、殆ど袖を通さなくなった時代遅れの洋服や勢いで買ったスノーボード、捨てるには惜しいからって取ってあるハードカバーの小説など、次々に出でくる。
どれもそれぞれの思い出があって、なるほど整理作業が進まない。
ふと気がつくと、見たことのない古ぼけた段ボール箱が、これもまた殆ど気なくなったロングコートに埋もれポツンと置かれていた。
「これ、僕のじゃないな」
そう独りごち、少し剥がれかけたガムテープを静かに剥がして行く。
飛び込んできたのは、RadoのDiastar。
随分と昔に父が愛用していた古い時計だ。大事にしていたのに無くしてしまったと聞いていた時計。
箱の中身を解いて行くと、出てくるのは父の数々の歴史。
まだ若い父が、今ではクラシックカーと呼ばれる新車の隣で得意げな笑顔で写っているモノクロの写真。
見ているこちらが恥ずかしくなるほど裾の広がったズボンを履いた父の写真。
今では考えられないが、タバコを加えながら笑顔で電話対応しているサラリーマンな父の写真。
岡本太郎の太陽の塔が写っているという事は大阪万博だったかな?やっと写真がカラーになっている。
デジャブなんだろうか。この塔が、どこかで見たガーベラのようで不思議だ。
そういえば、母とは大阪万博で知り合ったと言っていたから、小さく写っているこの女性は多分僕の母親なんだろう、こんな顔をしていたんだ。
今では自分が誰だかわからなくなってしまい、一人施設にいる年老いた父。
多分、そんな自分の異変に気付いた父が、大事なものだけを仕舞った父の歴史。
どれもこれも抱え難い記憶の重みのあるものなのだろう。
記憶を失って行く自分が、大切な数々の思い出を捨ててしまわないように僕の引越し荷物に紛らせたのだろう。
小さな箱の中に広がる父のクロニクル。
明日、久しぶりに父を見舞おうと思う。左手に腕時計をする父に倣って、左手にRadoのDiastar.
今日ご紹介するさぎやまさんのガーベラ「クロニクル」。なんとなく岡本さんの太陽の塔に見えて・・・。でもクロニクルという名の由来、知りたいですね笑