アルケミラモリス「Weekend Flower」

さっき、今夏の舞台キャストが発表になった。正直結構今回は期待していた。役作りのため、体重もしぼり、すきなお酒も・・・なんて事はしなかったけど。

田舎から出てきてもう10年。一番の大きな仕事は大河ドラマ。役は「農民C」だったけど、自分のことのように喜んでくれた母ももういない。親孝行できなかったことが悔やまれる。

「人って、こんな時、やっぱり下を向いて歩くんだな。」

気が付くと地面ばかり見て歩いている自分に気が付いた。格好悪いよな今の俺。歩道の先にあるShopのガラスに映る自分。思っていたより重症だった。

「あれ?あんなところにお花屋さんなんてあったっけ?」

中を覗くと年配の女性が一人でアレンジメントを作っているのが見えた。

看板に「アレンジメントスクール始めました。お一人様でもお気軽にどうぞ」。何となく母の面影を感じたのと、他に参加者も居なそうこともあり、木製のドアをそっと押した。

花材の名前や作成方法など一通りの説明を受けた後、ふたりきりの時間が動き出す。初めは花の個性や作り方のヒントなどたわいもない話だったけど、いつの間にか僕の愚痴話になっていた。ひとしきり話した後、「誤解があったらいけないんだけど」そう前置きそして彼女が話し出す。

「世の中には主役と脇役はあっても、そこに優劣はないと思うの。それぞれが存在し、それぞれの調和がとれ、その調和の完成度が高ければ高いほど美しいんだと思うの。何かが突出していたらきっと落ち着かないわ。いまあなたが作っているお花。主役はクレマチス。でもクレマチスだけでは完成しない。このアルケミラモリスが存在して初めて美しさの調和がとれるの。そう思わない?」

自宅に帰り、また今回も脇役だったこと、たまたま立ち寄った花屋でアレンジメントを作ったとこ、そこの先生に言われたことなど、一通り彼女に話す。

私、あなたの脇役っぷり、好きよ。「自身をもって」とかじゃないけど、貴方といるととても落ち着くの。きっといいパパになれると思うよ。

突然の報告に小さなアパートで小躍りした。不甲斐ない父親だけど、初めての主役。いや、主役は生まれてくる子だな。やっぱり脇役だなオレ。

「アルケミラモリス」

群馬県 海保さんの「ロブスター」。

この瑞々しさに感動すらおぼえます。

これから旬を迎える六合村シリーズ。ぜひご期待ください!

ちなみに、添付の写真は本日開催した「クレマチスフェア」

作者は当社のデザイナー岡寛之です。

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