【汝は、幸せな時も、困難な時も、病める時も、健やかなる時も、死がふたりを分かつまで愛すことを誓いますか?】
「はい、誓います」
あの日僕たちは、神の御前でそう誓った。
「将来、僕たちのどちらかが天寿を全し、2人の間を分かつ時が来たとしても、必ず相手を看取り、1人きりにはしないと約束しようよ」
あの日僕たちは、そう約束した。
「ねえ、この家の前の坂を下りた所に大きな桜の木があるじゃない?あそこの角を曲がるときに電話して。
その電話を合図にスープを温めるの。家に着いたときは温かいスープでお迎えするね。だから会社から帰るときは何時もよ。約束ね」
あの日僕たちは、そう約束した。
その約束通り、新芽がほころび出した桜の木の下を曲がるとき、僕は自宅に電話をかける。
誰も出るはずが無い事を知りながら。
遠くに見える明かりを持たない我が家は、夜の色にその輪郭を失い、僕のパラノイアが現実を否定しようとする。
「Hey Siri、ただいま。照明は付けなくて良いよ。暖房も必要ない、家を暖める必要がないから」
Homekitに簡単な指示をだし、2人で祝うはずだった結婚記念日のために購入したカラーのブーケをテーブルに飾る。無機質なこの家で、今、このブーケだけが色彩を持つ。
「人は寂しいと、俯くか空を見上げるんだね。前を見て歩いて行ける人は、きっと心が強い人なんだよ」ベランダから見上げた空に浮かぶ美しすぎる月にそう問いかける。
「君の場所から見える彼女は楽しそうに微笑んでるかい?」彼女を見つめる事ができる月に、僕は嫉妬する。
ふと、夜風が僕の前髪を揺らす。僕はそっとその夜風を抱きしめる。どこかにいるはずの彼女の頬を撫でてきた風かもしれないから。そして僕は、夜風に嫉妬する。
そう遠くないところで、耳慣れた音がした。それが何の音だったか思い出せずにいる間に玄関のドアが開く。そうだSiriが開錠する音だったんだ。
「ただいま」
電気付いてないから居ないのかと思ったわ。出張が1日早まったから帰ってきちゃった。
あっ、どーせまた「1人は寂しいごっこ」してたんでしょう?単なる1泊の出張なのに。
さっ、ワインを開けましょう、結婚祝いをしなくちゃ。
「てへ」
「Calla Lily Fair」
今週は君津市の小糸農協さんのカラーフェアー。今週のお陰様で盛況裏に終了することが出来ました。
ご来店のみなさま、ありがとうございました!。
今日はなんと「きみぴょん」にもお越しいただきました。普段は湖のほとりや川べりで遊びんでいるのに葛西まで!
朝早くからありがと!そんな君津のカラーのお問い合わせ、またはその他「お花の仕入れ」については葛西店・長友までお願いします。