WeekendFlower-ラベンダー-

【青天の霹靂】

読み方:“せいてん”の“へきれき”

青天の霹靂とは、思いがけず起こった衝撃的なことや驚くようなこと。

「青天」は「晴れわたった空」を、「霹靂は「雷」「雷鳴」を意味する古い表現。

 

まさに、今朝の母の一言は私にとって青天の霹靂だった。

いつもと変わりのない朝食の風景。左に座る父がいて、テーブルを挟んだ向かいに母が座る。

「汗をかくと塩分不足になるから、食欲がなくてもお味噌汁だけは飲みなさいよ」

「暑いと思わなくても、まめに水分を取らないと熱中症になるらしいから気をつけなさい」

そして、こう告げられた。

「そうそう、ようやくこの家に買い手がついたから、貴女も今週中に新しいアパート見つけといてよ。」

 

熱中症対策の話と実家売却の話は、同じトーンで話せる内容だろうか。。。?

 

「ほら、2丁目の角を曲がった交番の先に新しくできた老人ホームができたでしょう1階にコンビニがあるビル。

私たちも最近物忘れも多くなってきてるから、今のうちに、そういったところでお世話になったほうが良いわねってお父さんも話していたのよ。」

 

そういう理由らしい。

まー、交番は3丁目の角を曲がったところだし、老人ホームができたビルの1階は美容院。確かに、記憶がちぐはぐな感じ。両親も若くなってことだ。

 

午後から始めた私なりの断捨離。寝室が片付いたところで、解約した近所のレンタルルームからの荷物が届く。

私の四半世紀分の思い出の段ボールの数々。ここ何年も開けられていない荷物たちなのだから、本来は開封もせずに捨てても問題のないはずだ。

一応儀式的に開けた箱から出てきたのは、小学校の時に使っていた縦笛や辞書、こまごまとしたアクセサリー。

まとめて断捨離を決めた時にふと見つけた「卒業アルバム」の文字。

 

十数年ぶりに対面する私と私。

「あー、この頃は眉毛が太い。そうそう、マッキーの太いほうで書かれたような眉毛だわ」そして私の将来の夢「素敵なお嫁さん」

「ごめん、まだ貴女の夢、叶えてあげられてないわ。。。」

 

そしてアルバムから滑り落ちる1通の手紙。

昔、あれだけ苦労して覚えた歴史の年号や化学の数式はほとんど覚えていないけど、この手紙の中の1つ1つの文字が鮮明に思い出される。

小学校の卒業式を待たずに転校していった近所の男の子へ宛てたラブレターだった。

 

私の卒業アルバムにある将来の夢は、この男の子のお嫁さんになるものだった。

転校してもまた会おうねって書かれた手紙。道端に咲くラベンダーを添えたのも覚えている。

封筒にそっと顔を近づけるとかすかに香るラベンダーの香り。

ただあの日、小学校から帰る彼の隣に楽しそうに話す女の子を見つけ、この手紙をポストに入れることができなくなったのだ。

今にしてみれば他愛もない下校風景だが、当時の私にとっては、そうそうまさに青天の霹靂だった。

 

玄関を出ると、むせ返る様な夏の風が私を包む。小走りで向かう近所の郵便局。

十数年ぶりに投函されるこのラブレター、無事に届くだろうか。

 

外にでて空を仰ぎ見る。まさに青天。そして耳を澄ます。雷など聞こえない。

Fin

こんにちは。

今日も暑い一日でしたね、お疲れさまでした。最近では沖縄のほうが涼しいんだとか(笑)

さて、本日ご紹介した「ラベンダー」。

Flore21では、オンラインショップにて各種ドライ資材も販売しております。

スワッグやハーバリウムにも最適ですよ。ご興味のある方はこちらまで!

 

FLORE21@shop(アットショップ)
https://flore21.shop/

株式会社フローレ21葛西店 長友

TEL:03-5659-8750

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Weekend Flower「あじさい」

もう、どうのくらいこうしているのだろう。

どこまでも続く灰色の空に、紫とか青とかグリーンとか、色とりどりの紫陽花が重なる。

その景色が、何故か僕を不安で落ち着かなくさせる。

僕たちは、何を話すわけでもなく、中途半端な距離をあけて座っている。

そして、2人の足はくるぶしまでプールの水に漬かっていて、
時折吹く風に水面が揺れ、2人の足が絡まっているように見えた。
僕は少し照れる。

彼女がふと遠くを見つめる。そしてこう言う。

「僕はこの匂いが好きなんだ、ペトリコール。もうじき雨が降ってくるよ。ほら、嗅いでみて?」

「君は女性なのに自分のことを僕っていうから、僕は自分のことを何て呼んでよいかわからなくなるよ。」

彼女が期待していた僕の返答がこんなんじゃないというのは分かっていたけど、ペトリコールなんて聞いたこともないし。

そしてまた2人の間に沈黙が続く。

プールの端のほうからいくつもの小さな波紋が広がる。まるでたくさんのアメンボが泳いでいるように。

そして彼女の言う通り、雨が僕たちに静かに降り注ぐ。

「そろそろ帰らないと風邪ひくよ」

「風邪なんてひきっこないけど、ブラウスが濡れるのを君に見られるのは嫌だな。」

もう、あれからどのくらい経つのだろう。
僕が住むこの街にも、また梅雨がやってくる。

あの日僕は、彼女のいう通りペトリコールを探して何度か嗅いでみた。でも彼女の風下に座る僕には、彼女の香りしかしなかったんだ。

だから僕には、雨が降る間際には君の香りを感じるんだ。
洗濯石鹸と温もりを持った木綿と、君の何かが混ざった香り。

ふと窓の外を見る。
あの日の午後と同じように、どこまでも続く灰色の空に、紫とか青とかグリーンとか、色とりどりの紫陽花が咲いている。

その景色は、今でも僕を不安で落ち着かなくさせる。

こんにちは。

梅雨空な週末ですが、午後には晴れるとか!

さて、本日ご紹介した「青木園芸さんのあじさい」。

今年もそんな季節ですね。

そんな、旬を迎えるアジサイ各色のお問い合わせ、またはその他「お花の仕入れ」についてのお問い合わせはこちらまで。

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Weekend Flower「ベッチスブルー」

7時47分。

毎朝この時間のバスに乗って会社へ向かう。本当は、2~3本後のバスでも全然間に合うのだけれど。。。

停留所の向かいある、今では珍しい木造の小学校の校庭にある大きな時計の長針が7時45分を指す。

程なくして小走りでやってくるヒールの音。

7時47分。定刻通りにやってきたバスが目の前に停車し、その車窓に僕と彼女が映り込む。

この一瞬のドキドキのために、僕は毎朝早起きをしている。

僕に許されているのは、バスを待つ数分の間に、右斜め下45度まで振り向き彼女を盗み見することと、バスの車窓に映る彼女を見つめる事だけ。

 

丁寧に磨かれたローヒールのパンプス、同系色でコーディネイトされたレザーのバック。季節感を取り入れた華美過ぎない丁寧な着こなし。むー、隙がない。。。

だた一つ残念なのが、彼女の左手薬指に巻き付いている金属製のループ。そう既婚者なのだ。

 

そんなある日、いつものように右斜め下45度まで振り向き彼女を盗み見る。いつもと同じような朝だが何かがおかしい。

頑張って右斜め下47度まで振り向くものの、その違和感が見つからない。

なんだろう?

いつもより若干遅れているバス。時間を確認するために右手の腕時計を見ようとした瞬間その違和感が見つかった。彼女の薬指から、あの憎っくき金属製のループが消え去っているではないですか。

その日は、一日中仕事が手につかなかったが、結論、金属製のループをしなくてよい人になったのは事実だ。

明日、思い切って声をかけてみることにした。

だって、もう金属製のループをしない人になったんだから、僕が声をかけても罪にはならないだろう。

 

普段より念入りにグルーミングをした朝は清々しい。

空も抜けるような青空。僕にとって、何かとても良いことが起きる気がする、そんな朝だ。

そしていつものように校庭の大きな時計の長針が7時45分を指す。

そして右のほうからヒールの足音が近づく。あれ?足音が2つ聞こえる。

そしてこんな話声も。

「あれ、結婚指輪どうしたの?」

「あー、なんか急に金属アレルギニーなっちゃって。」

「そうだよね、あんな素敵な旦那様だものねー」

 

空を見上げると、抜けるような青空。

明日からは少し寝坊してから出勤しよう・・・泣

紳士淑女のみなさま、恋してますか?。実らないのもまた恋です(笑)

本日ご紹介した「青柳フラワーセンターのベッチスブルー」。

抜けるような青空に生える素敵な深いブルー。そんな、旬を迎えるベッチスブルーのお問い合わせ、またはその他「お花の仕入れ」についてのお問い合わせはこちらまで。

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Weekend Flower-アンスリウム-

I mohala no ka lehua i ke’eke’ehi ‘ia e ka ua.

「優しい雨がレフアの花を開かせる。」

 

昔から、ハワイに伝わる諺だと言う。

母と別れて越して来たこの島に、5度目の夏が来る。

きっかけは些細な事だった。改めて文字にしてみると、なんて事ない事だった。

まー、こんな感じ。

「私がしたいことと、母がさせたい事が違う。」

 

あの頃の私は、母の言うこと全てに懐疑的、何を言われても上の空の返事ばかり。

駆け落ち同然で来たこの島で生まれたこの子にも、もうすぐ5度目の夏が来る。

父がいればもう少し違っていたのかもしれない私の過去。夕暮れに思う後悔。

 

「その後、お変わりないですか?」

 

そんなある日、久しぶりに届いた母からのエアーメール。

広い余白のあるハガキに一行だけ。

愛の詰まった言葉。

 

「今度の母の日に、家族で帰ろうと思います。そして、母さんといろいろお話しできるとこを楽しみにしております。今でもアンスリウムは好きですか?」

「優しい雨がレフアの花を開かせる」という諺。

優しい言葉が人を動かすという意味だそう。一行の言葉が久しぶりに家族という花を咲かせた。

 

ハートオブハワイ。ハワイでは母の日の定番の花。そうアンスリウム。

きっと素敵な母の日になると思う。

 

今日は母の日。日本のあちこちで、お母さんの笑顔という素敵な花が咲き誇っていることでしょう。

そんな母の日、ハワイではアンスが定番。アンスと言えば大佐和花卉園。

代表の平野さんのハワイでの経験を活かしたアンスはクオリティも高く使いやすいと好評!。

本日ご紹介した「大佐和花卉園のアンス」のお問い合わせ、

またはその他「お花の仕入れ」についてのお問い合わせはこちらまで。

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Weekend Flower-オーニソ・シラー-

それでは、判決を申し渡す。

主 文

被告人を、「1週間、口聞かないの刑」並びに「1ヶ月のお小遣い50%減額の刑」に処する。

だだし、この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する。訴訟費用は被告人の負担とする。

理由
(罪となるべき事実)
被告人は平成29年4月22日、日本国民の既婚男性が日頃の感謝を込め、奥様にプレゼントを贈る「良い夫婦の日」を忘却し、仕事とはいえ、会社の同僚と飲み明かし、深夜に帰宅したものである。

(法令の適用)
罰条    : 新婚法41条22項、23項
刑種の選択 : 心身消耗の刑並びに貧困の刑
宣告刑   : 22項実刑1週間、23項、実刑1ヶ月

刑の執行猶予 : 新婚法条100条(5年間執行猶予)

(説諭)

本来は、執行猶予なしの実刑相当であるものの、情状証人である同僚の証言に基づき、執行猶予相当とした。

(情状証人証言)

被告人が深夜まで飲み明かし、既婚男性の責務を怠った事実は覆せないものの、飲み会の始終、原告である妻の自慢話をし、かつ原告の好きな色の紫の花で作られた結婚記念日1年目のプレゼントブーケを内緒で用意していた事実が判明した事を考慮した。

だだしそのブーケは、酔った事により行方知れずという事を申し添える。

被告人は翌日以降、献身的に原告の機嫌をとる努力を行ない、十分反省している。よって再犯の恐れもないと判断し,被告人を主文の刑に処した上,その刑の執行を猶予することとする。
よって,主文のとおり判決する。

平成30年4日22日 「良い夫婦の日」

さて、今回のシラー。とても素敵なラベンダーカラーの花材。

ムスカリでもヒヤシンスでもなく、スカビオサでも出せないこの雰囲気。個人的に、大フェイバリット(笑)

本日ご紹介した「オーニソガラム シラー」のお問い合わせ、またはその他「お花の仕入れ」についてのお問い合わせは、
 株式会社フローレ21葛西店 長友まで!
TEL:03-5659-8750
※記載は、裁判の判決申し渡しを模写しております・・・
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Weekend Flower-すずらん-

ある日、ふと気になって調べた。鳥の糞が頭に当たる確率はどのぐらいなんだろうか?と。

おおよそ400万分の1らしい。

もしこの地球の生存者が僕だけだとすると、11,000年生きてると1度ぐらい当たる計算。

論拠の素材は、地球の陸地面積、頭頂の面積、糞の面積、地球上の人口と鳥の総個体数、そして鳥の排泄数。

もっともこの確率、日本の人口割合でいうと、1日/30人弱。これが多いのは少ないのかわからないけど、去年1億円以上の宝くじに当たった人も30人弱らしい。

ただ、僕の身近に、糞も宝くじも当たった人がいないってことは、相当に想定外な出来事なんだろう。

 

あの日は、朝からついてなかった。

普段、1時間で着く空港までの距離。GWということもあり、サンデードライバーによる事故があちらこちらで頻発していて、ようやく到着したのは搭乗開始時間。あんなに走ったのは何年ぶりだろうか。

今思えば、あんなに走らなくてもよかったのかもしれない。その飛行機は悪天候のため羽田に引き返すことになるのだから。

 

12時間後、無事到着したフランス・パリ。まーよくある話だから、ある程度想定内の国鉄職員のストライキ。市内までタクシーで行く羽目になり、余計な時間とコストは想定外。。。

 

嫌な予感がしたものの、特に問題なくチェックイン出来たホテル。元来ホテルは宿泊できれば良いのだが、このホテルを予約した大きな理由はここのレストランが楽しみだったから。

改装するのがわかっていれば別なホテルに予約したのに・・・。

 

とても魅力的で女性的な男性フロントマンに紹介されたビブグルマンに到着したのは、日本の自宅を出てから30時間後。想定外の連続の末、やっとたどり着いた美食の国でのディナー。アペリティフを口に運ぶその瞬間、その日最後の想定外が僕の前を横切る。

 

10数年前、つまらないことで喧嘩になり、その後音信普通になってしまった遠い日の恋人。ただ一言謝りたくて、方々探しても連絡が取れなかったその恋人。今、僕に気づかずに、僕と背中合わせに座っている。

レストランのギャルソンに、無理を言って買ってきてもらった白い花のプチブーケ。そう、今日は5月1日。Jour du muguet「すずらんの日」。フランスではこの日、愛する人にすずらんを贈り、贈られた方には幸せが訪れるという。

 

「久しぶり、お元気そうで。」

そういう僕に、ゆっくりと振り向いた彼女が小さくつぶやく。今日は想定外な事ばかり・・・

今週は、ようやく動き出したスズラン。

フランスでは、こんな素敵なずずらんのプレゼントの習慣があるんですね。なんとも愛くるしい花材です。

そんなすずらんのお問い合わせ、またはその他「お花の仕入れ」については葛西店・長友までお願いします。

 

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Weekend Flower-モロッコハッドゥ-

会社帰りの夜の首都高。ふとラジオから流れてきたショートストーリー。

普段は聞かないAM。でも今夜はなんだか人恋しくて音楽だけのFMから切替えた。

 

等間隔の街灯に照らされる車のボンネット。

もうどのくらい洗ってないだろう、まるで、サンドペーパーにかけたように、艶を失っている。

 

「仕事が忙しいから」なんてのは言い訳。

なんとなく、気が乗らない日々が、淡々と過ぎて行く。

まるで、そう、首都高の街灯のように。

もっともあの街灯ほど、僕は誰かの役になんてたってないけど。

 

ショートストーリーの主人公は、まだ若い、新人女性社員。

あるプロジェクトを任され、今日は社内でのプレゼン。

担当上司にだめだしをされ、相当落ち込む。

そんな時、恋人からの電話。ひとしきり愚痴ったあと、化粧を直してデスクに戻ると一通のメールが。

「No Rain No Rainbow.

今日みたいな日があって、素敵な明日が来るんだよ。

ちなみに今日のてんびん座のラッキカラーはオレンジだって。そんな色の素敵なお花、見つけたよ。元気出してね」

 

ラジオ越しに聞こえる色。

きっと、聞いている人それぞれに違う色、そして違う形。AM、悪くないじゃん。

「そういえば僕もてんびん座だった。明日から頑張られるよ、ありがとう」

首都高の街灯が、少しニヤけた僕を照らしてる。

 

今週は花職人Aizuさんのラナンキュラス-モロッコハッドウ-

ほんのりピンクが可愛い桜が満開の今、あえて元気カラーのオレンジ、いかがでしょうか?

そんなモロッコハッドゥのお問い合わせ、またはその他「お花の仕入れ」については葛西店・長友までお願いします。

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バラ アブラハムダービー

冬の冬眠から目覚め出荷が始まりました堀木園芸さんのバラ。

個人的に大好きなアブラハムダービーでございます。

香り良く、咲くと見事なロゼッタ咲き。茎はしなやかで流れを出すこともできるバラです。

これからがとても楽しみです。

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草柳までお願いします

 

 

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Weekend Flower -カランコエ・ウェンディ-

君の国は、何か細菌兵器にでも攻撃されたのかね?

アメリカ本社から来たVIPが僕にそう尋ねる。

 

この時期、日本の街のあちこちで、白い花が咲きこぼれる。

そう、ティッシュで作られた白い花。

恐らく数年後には季語になるな、この「花粉症」という春の使者。

 

幸いなのか時代遅れなのか、アレルゲンがオーバーフローしていなかったこの僕にもとうとう今年、春の使者がやってきた。。。

 

「次の方、診察室にお入りくださーい」

たぶん、この時期のGDP成長率ってひどいんだろうな、なんて考え事をしながら、しぶしぶアレルギー科に向かう。

 

「今日はどうしましたか?」

振り返ると、そこに居たのは、忘れもしない大昔のいじめっ子の彼。

ふと見上げると、そこに居たのは、たぶん初恋のあの彼女。

 

「結論から言うと貴方の病名は【hay Fever】つまり花粉症。残念だけど特効薬は2つ。1.うまく付き合う。2.この国から出る。残念だけど完治はないから、そう、ご愁傷様。通院は意味がないけど、症状がひどいときは来院して、処方箋は出すので。他に何か質問は?」

 

「君は、本当に女医さんになってたんだね」

遠い日の記憶がよみがえる。ドクターになる夢を持つ同世代の女の子に嫉妬し、ふざけたついでに取り上げた彼女の筆箱、誤って踏んすけて壊したのを彼女も覚えているのだろうか。
11歳の春、桜が散るころに転校してきた彼女は、12歳の春、桜が芽吹くころ転校していった。そして、桜が満開な今、彼女はここにる。彼女は、こんな軌跡を奇跡と感じているのだろうか。

 

「次の方、診察室にお入りくださーい」

(やっぱり、市販の薬が効かないみたいで。)来院の理由は何でもよかったんだけど、話すことは山ほどある。どこから話してよいかすら悩ましいなどと考えながら診察室に。

 

彼女はまた僕の前から居なくなっていた。「なんて日だ。。。」そう、なんて日なんだ。。

 

「あなたが来院されたときに渡すように頼まれた封書がありますので、これを。」

代わりのドクターに差し出された封書を開けると1枚のポストカード。消印は、マダガスカルの首都アンタナナリブ、そしてMEDECINS SANS FRONTIERESの封書。

「花粉症の完治の1つは日本を出ること。トライしてみますか?もしトライするなら、あの春の筆箱の件、無かったことにしてあげるので。」

近所の花屋でマダガスカル産の花を買い、たっぷりの氷にラムを注ぐ。そして、国際免許申請用紙にサインをしながらパスポートの有効期限を確認する。

マダガスカルにも桜は咲くのだろうか。。。

 

今週はカランコエ・ウェンディ。俯いた花房を下からのぞくと、なんともチャーミングな雰囲気。

島の90%が固有種というこの島が原産のカランコエ。

遠い彼の地に思いをはせ、妄想トリップいかがですか?

そんなウェンディのお問い合わせ、またはその他「お花の仕入れ」については葛西店・長友までお願いします。

 

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Weekend Flower -Calla LilyCC-

【汝は、幸せな時も、困難な時も、病める時も、健やかなる時も、死がふたりを分かつまで愛すことを誓いますか?】

「はい、誓います」

あの日僕たちは、神の御前でそう誓った。

 

「将来、僕たちのどちらかが天寿を全し、2人の間を分かつ時が来たとしても、必ず相手を看取り、1人きりにはしないと約束しようよ」

あの日僕たちは、そう約束した。

 

「ねえ、この家の前の坂を下りた所に大きな桜の木があるじゃない?あそこの角を曲がるときに電話して。

その電話を合図にスープを温めるの。家に着いたときは温かいスープでお迎えするね。だから会社から帰るときは何時もよ。約束ね」

あの日僕たちは、そう約束した。

 

その約束通り、新芽がほころび出した桜の木の下を曲がるとき、僕は自宅に電話をかける。

誰も出るはずが無い事を知りながら。

 

遠くに見える明かりを持たない我が家は、夜の色にその輪郭を失い、僕のパラノイアが現実を否定しようとする。

「Hey Siri、ただいま。照明は付けなくて良いよ。暖房も必要ない、家を暖める必要がないから」

Homekitに簡単な指示をだし、2人で祝うはずだった結婚記念日のために購入したカラーのブーケをテーブルに飾る。無機質なこの家で、今、このブーケだけが色彩を持つ。

「人は寂しいと、俯くか空を見上げるんだね。前を見て歩いて行ける人は、きっと心が強い人なんだよ」ベランダから見上げた空に浮かぶ美しすぎる月にそう問いかける。

「君の場所から見える彼女は楽しそうに微笑んでるかい?」彼女を見つめる事ができる月に、僕は嫉妬する。

 

ふと、夜風が僕の前髪を揺らす。僕はそっとその夜風を抱きしめる。どこかにいるはずの彼女の頬を撫でてきた風かもしれないから。そして僕は、夜風に嫉妬する。

 

そう遠くないところで、耳慣れた音がした。それが何の音だったか思い出せずにいる間に玄関のドアが開く。そうだSiriが開錠する音だったんだ。

 

「ただいま」

電気付いてないから居ないのかと思ったわ。出張が1日早まったから帰ってきちゃった。

あっ、どーせまた「1人は寂しいごっこ」してたんでしょう?単なる1泊の出張なのに。

さっ、ワインを開けましょう、結婚祝いをしなくちゃ。

「てへ」

「Calla Lily Fair」

今週は君津市の小糸農協さんのカラーフェアー。今週のお陰様で盛況裏に終了することが出来ました。

ご来店のみなさま、ありがとうございました!。

今日はなんと「きみぴょん」にもお越しいただきました。普段は湖のほとりや川べりで遊びんでいるのに葛西まで!

朝早くからありがと!そんな君津のカラーのお問い合わせ、またはその他「お花の仕入れ」については葛西店・長友までお願いします。

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